花粉症の人が多い地域、少ない地域など、地域ごとに差があるのでしょうか?

花粉症の都道府県別の有症率(花粉症の症状が出ている人の割合)について考えていきたいと思います。

花粉症有病率ナンバー1は山梨県、沖縄・北海道は少ない

2008年に行われた花粉症についての疫学調査によると、都道府県別の花粉症の有病率を見てみると、もっとも有病率が高いのは山梨県でした1)

また、関東地方も茨城県以外はいずれも30%以上となっており、全体が高い値になっています。

北海道、沖縄についてはそれぞれ 2.2%、6.0%となっており、花粉症の人が少ない地域と言えます。

<都道府県別 花粉症有病率マップ>

都道府県別 花粉症有症率マップ
馬場廣太郎ほか:鼻アレルギーの全国疫学調査2008(1998年との比較)-耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として-.Prog Med. 2008;28:2001-2012.より作図

 

<都道府県別 花粉症有病率ランキング>

順位 都道府県 スギ花粉症
有病率(%)
人口(人) 推定患者数(人) 推定患者
存在比(%)
1 山梨県 44.5% 834,930 371,544 1.1%
2 高知県 41.2% 728,276 300,050 0.9%
3 栃木県 39.6% 1,974,255 781,805 2.3%
4 埼玉県 39.6% 7,266,534 2,877,547 8.5%
5 静岡県 39.3% 3,700,305 1,454,220 4.3%
6 岐阜県 36.5% 2,031,903 741,645 2.2%
7 奈良県 35.0% 1,364,316 477,511 1.4%
8 三重県 33.2% 1,815,865 602,867 1.8%
9 神奈川県 33.1% 9,126,214 3,020,777 9.0%
10 京都府 32.8% 2,610,353 856,196 2.5%
11 宮城県 32.5% 2,333,899 758,517 2.3%
12 千葉県 32.4% 6,222,666 2,016,144 6.0%
13 東京都 32.1% 13,515,271 4,338,402 12.9%
14 群馬県 31.9% 1,973,115 629,424 1.9%
15 徳島県 28.8% 755,733 217,651 0.6%
16 愛媛県 28.3% 1,385,262 392,029 1.2%
17 愛知県 28.0% 7,483,128 2,095,276 6.2%
18 広島県 27.8% 2,843,990 790,629 2.3%
19 山口県 27.3% 1,404,729 383,491 1.1%
20 福島県 26.4% 1,914,039 505,306 1.5%
21 滋賀県 26.4% 1,412,916 373,010 1.1%
22 佐賀県 26.3% 832,832 219,035 0.7%
23 茨城県 25.6% 2,916,976 746,746 2.2%
24 大阪府 25.2% 8,839,469 2,227,546 6.6%
25 山形県 25.0% 1,123,891 280,973 0.8%
26 長野県 25.0% 2,098,804 524,701 1.6%
27 鳥取県 24.4% 573,441 139,920 0.4%
28 大分県 22.7% 1,166,338 264,759 0.8%
29 福井県 21.6% 786,740 169,936 0.5%
30 香川県 21.5% 976,263 209,897 0.6%
31 石川県 20.5% 1,154,008 236,572 0.7%
32 兵庫県 20.5% 5,534,800 1,134,634 3.4%
33 和歌山県 20.3% 963,579 195,607 0.6%
34 岡山県 19.1% 1,921,525 367,011 1.1%
35 福岡県 18.2% 5,101,556 928,483 2.8%
36 富山県 17.4% 1,066,328 185,541 0.6%
37 長崎県 15.2% 1,377,187 209,332 0.6%
38 新潟県 15.0% 2,304,264 345,640 1.0%
39 秋田県 14.0% 1,023,119 143,237 0.4%
40 熊本県 13.6% 1,786,170 242,919 0.7%
41 島根県 13.1% 694,352 90,960 0.3%
42 青森県 12.5% 1,308,265 163,533 0.5%
43 岩手県 12.1% 1,279,594 154,831 0.5%
44 鹿児島県 12.1% 1,648,177 199,429 0.6%
45 宮崎県 8.2% 1,104,069 90,534 0.3%
46 沖縄県 6.0% 1,433,566 86,014 0.3%
47 北海道 2.2% 5,381,733 118,398 0.4%

馬場廣太郎ほか:鼻アレルギーの全国疫学調査2008(1998年との比較)-耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として-.Prog Med. 2008;28:2001-2012.より作成

有病率…調査母数における、実際に花粉症の症状があらわれている人(有症者)の割合
推定患者数…有病率から算出した、実際の人口における花粉症有症者数
推定患者数存在比…日本の推定患者数合計における、該当都道府県の推定患者数の割合

 

なぜ地域差が出るのか

スギ林から風で巻き上げられたスギ花粉は、風にのって100km以上もの距離を運ばれます2)

ですから、濃密なスギ林の風下側でスギ花粉飛散量が多くなる傾向があります。

都道府県別のスギ林の人口林面積3)の地図と比較してみましょう。

日本のスギ林の人口林状況と花粉症有症者比較
林野庁「都道府県別 スギ・ヒノキ人工林面積」、および馬場廣太郎ほか:鼻アレルギーの全国疫学調査2008(1998年との比較)-耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として-.Prog Med. 2008;28:2001-2012、より作図

森林面積の多い地域と比べて、そこから風が吹き込む地域の方が、花粉症の有病率が高くなっていると考えられます。

花粉症の時期は、花粉の飛散が少ない地域にリフレッシュを兼ねて長期旅行にいってみるのも良いかもしれませんね。

海外の花粉症事情~ちょっと一息:花粉症トリビア~

実は海外にも花粉症があるのはご存知ですか?

日本では花粉症と言えばスギ花粉が主ですが、ヨーロッパでは花粉症の有病率が40%を超えると推測され4)、アメリカではブタクサ花粉症の感作率が10%もあります。

ヨーロッパは地形が国によって大きく異なる関係か、植物の育成状況に大きな違いがあり、イネ科の植物でもあるライムギをはじめ、ブタクサやヨモギがヨーロッパに広く生息しているほか、

  • 北ヨーロッパではカバノキ科
  • 地中海地域ではオリーブやヒノキ

などの花粉が、それぞれの地域の花粉症患者の主なアレルゲンになっているとの報告もありました4)

加えて、2016年には気候変動などの要因により、ブタクサの育成が広がることによるブタクサ花粉症患者がヨーロッパで急増する恐れがある5)との話もあります。

 

花粉症のひどい方が今後ヨーロッパ旅行をされる際には、現地の花粉症情報などを調べておくと良いかもしれませんね。

<参考文献>

  1. 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会.鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-.改訂第8版,2016, 143p.
  2. 本間環.スギ花粉の諸問題.Journal of Pesticide Science.1995,Vol. 20,No. 4 ,P. 548,https://www.jstage.jst.go.jp/article/jpestics1975/20/4/20_4_545/_pdf,(参照 2017-10-20).
  3. 林野庁.”都道府県別 スギ・ヒノキ人工林面積”.林野庁ホームページ.http://www.rinya.maff.go.jp/j/sin_riyou/kafun/pdf/sugihinoki_menseki.pdf,(参照 2017-10-20).
  4. G. D’Amato, et al. Allergenic pollen and pollen allergy in Europe. Allergy. 2007, Volume 62, Issue 9. Pages 976–990, http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1398-9995.2007.01393.x/full, (acsessd 2017-10-24).
  5. Iain R. Lake et al. Climate Change and Future Pollen Allergy in Europe. Environmental Health Perspectives. 2016, https://ehp.niehs.nih.gov/wp-content/uploads/advpub/2016/8/EHP173.acco.pdf, (参照 2017-10-20).