花粉症は大人だけの疾患ではありません。子供の花粉症について詳しく考えていきましょう。

子供の花粉症

子供の花粉症有症率

2008年に行われた花粉症についての疫学調査1)では0~4歳児のスギ花粉症有症率は1.1%、5~9歳児の有症率は13.7%、10~19歳で31.4%に達していました。

※有病率…調査母数における、実際に花粉症の症状があらわれている人(有症者)の割合

スギ花粉症 年代別有症率(未成年)
鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:「鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症-改訂第8版」P.9、株式会社ライフ・サイエンス,2015より一部抜粋・作図

乳幼児が花粉症になる原因

花粉症のメカニズムで解説しましたが、花粉症になるには、体に花粉量が一定量触れる(取り込まれる)ことが前提です。

つまり、乳幼児の花粉症の発症は、その「一定量」にあたる期間がごく短い期間の場合に起こるということになります。

なぜそういった期間の差が発生するのか、はっきりしたことはわかっていませんが、下記の説があるので、予防の意味でも知っておくといいかもしれません。

生後1~3ヶ月の期間が花粉飛散時期だった

小児を対象とした調査で、1~3月生まれの子はスギ花粉への抗体(IgE抗体)を多く生産する傾向があることが言及されています2)

調査において、スギ花粉に対する抗体を作りやすいと判定を受けた人のうち、実際に花粉症の診断を受ける、あるいは、花粉症の疑いを感じている人は半分ほどしかいませんでした。

そのため、抗体を多く生産する=花粉症の症状が出やすい、とは必ずしも言えないようなのですが、この時期にお子さんが生まれている人は、普段からなるべく花粉に触れないよう気を付けておくと良いかもしれません。

子供の花粉症の症状

お子さんに下記のような症状が出たら注意してください。
特に乳幼児は、自分で自分の身体の不調を上手く伝えることができません。

花粉飛散時期に何か様子がおかしいな?と感じたら小児科、耳鼻科、アレルギー科などの病院・クリニックへ行ってお医者さんに相談してください。

基本的には大人の花粉症の症状と一緒です3)

大人の症状から考えた、子供がとると考えられる行動について考えてみましょう。

くしゃみ、鼻水が普段の風邪の期間よりも長く続いている

一時的な風邪のくしゃみ・鼻水と違って、花粉症は抗原となる花粉が飛んでいる期間ずっと続きます。これまでお子さんが風邪を引いた時に比べて、くしゃみ・鼻水が長く続いているかどうか、気にしてみてください。

鼻をすする、鼻血が出る

子供ですと「鼻をかむ」という動作は上手ではないかもしれないので、鼻をすすっていないか、鼻を拭く動作が頻繁にないか、を見たほうがわかりやすいかもしれません。
また、鼻をいじることで鼻血をだすこともあります。

目をこする

目のかゆみも症状の1つです。

頻繁に目をこすっていないか、乳幼児であれば目をさわろうと顔をよくさわろうと手を動かすなどあるかもしれません。

いびきをかいている、睡眠が浅い、昼間の集中力が切れ気味

鼻づまりが酷いと、夜眠れない・眠りが浅くなることが考えられます。

また、鼻づまりによるいびきもあるでしょう。

睡眠が十分でないと、昼の時間にねむくなったり集中力が低下したりしますので、そんな様子がないか注意してください。

子供が花粉症の薬を服用するときの注意点

医療機関で薬を処方された際や、薬局・ドラッグストアに自分で薬を買いに行った時などに、ぜひ注意してほしいことがあります。

 

飲み薬の副作用は子どもにとって深刻な問題

乳幼児の身体に出る変調だけではなく、成長発展途上の子どもにおいても、飲み薬(抗ヒスタミン剤)の副作用については注意が必要です。

副作用として主によく耳にする、眠気などによる集中力の低下は、日常生活におおきな支障が出ているわけではないため、見過ごされがちですが、学習能力や勉学能率の面への影響が指摘されています4)

これは、ヒスタミンが覚醒状態の維持,集中力の維持,学習と記憶の増強,摂食行動の抑制,ストレスの調整などに関係しているためです。

抗ヒスタミン剤の中でも、第2世代と呼ばれる下記のような薬は、比較的副作用が少ないと言われていますが、子どもの場合は副作用の自覚が難しい事もありますので、薬を服用している期間は、注意してお子さんの様子を見ておくと良いでしょう。

子供への影響が比較的少ないと言われている薬は下記の表の「安全」に入っている、アレグラ、アレジオン、ザイザルなどです。

<小児に処方される主な抗ヒスタミン薬の安全性5)

小児への安全性 製品名
安全 アレグラ、アレジオン、ザイザル
比較的安全 クラリチン、ジルテック、アレロック、タリオン、ゼスラン、ニボラジン、アゼブチン
熱性けいれんを誘発する可能性のあるもの ザジテン、セルテクト、ポララミン、アレルギン、ペリアクチン、ヒスタール、アラタックス、レスタミン(コーワ)、タベジール、テルギンG

「週刊日本医事新報」 4732号.-日本医事新報社:2015年01月03日より作成

そもそも花粉症にならないための予防

花粉症にならないため、花粉症の症状を少しでも楽にするためには生活面での注意点がいくか必要です。

大人が生活上気を付けたいことは、花粉症の人が生活で気を付けることの記事で紹介していますが、ここでは特に子供で注意したいことについて紹介します。

子供との外出先の花粉飛散状況について確認する

フォーチュンの「花粉症サポート情報」では「AI花粉予報」を公開しています。こちらを参考にして、外出時の花粉状況を確認し、多い時期には外出を控える、念入りに対策を行うなどのことが必要です。

乳幼児向けの花粉対策を意識した服装にする

花粉が多い時期に出かける場合は、特に乳幼児には下記の注意が必要です。

  • 帽子をかぶせる
  • 花粉をくっつけやすい素材(フリース、アクリルの毛など)のブランケットなどはなるべく使わない
  • 足首など肌の露出をなるべく避ける
  • ウェットティッシュを持ち歩き、体に付着した花粉を拭きとってあげる
  • 外出から帰宅したときには、体についた花粉を払ってあげる

乳幼児向けの花粉対策グッズ

乳幼児とお出かけするときのための対策グッズも色々あります。
雨用のカバーを用いたグッズですが、素材がツルツルしているので花粉対策としても使えそうです。

抱っこひも用のケープ


花粉対策ケープ ユグノー ポランナケープ(日本エイテックス)

ベビーカーのカバー


マルチレインカバー(ベビーカー用レインカバー)(kukka hippo)

食べ物などの生活習慣

日本に限定した調査ではなく、国際的な調査になりますが、56ヶ国を対象にした国際的な調査で、小児アレルギー性鼻炎(花粉症)の有病率について、正の相関がみられた要因のひとつとして、「トランス脂肪酸」がありました6)

トランス脂肪酸とは、マーガリンやショートニングなどに多く含まれるので、菓子パンやケーキ、ドーナツなどのスイーツ系にも含まれています。(食品添加物とはまた別です。)

健康の面からWHOでもトランス脂肪酸の摂取については、「総エネルギー摂取量の1%未満」という目標値が提示されていますが、日本はもともとトランス脂肪酸の摂取量は目標値を下回っている7)ので、国際的な調査だから出た結果と言えるかもしれません。

なんの食品においても、偏って「食べすぎ」るのは注意、ということですね。

いずれにせよ成長期にあたるお子さんの食生活のことですから、脂質に偏った食生活になっていないか、注意を払うことに越したことはないでしょう。

農林水産省のページ7)でも詳しく紹介されているので参考にしてみてください。

特に気になる方は、お子さんの食べ物のうち脂肪分について少し気を使ってみるのも良いかもしれません。

<参考文献>

  1. 馬場廣太郎.鼻アレルギーの全国疫学調査2008 (1998 年との比較) 耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として.Progress in Medicine. 2008, 28, 8.
  2. 増田佐和子ほか.乳児期から思春期までの小児におけるスギ花粉感作の実態.アレルギー. 2006,Vol. 55),No. 10,p. 1312-1320,https://www.jstage.jst.go.jp/article/arerugi/55/10/55_KJ00004409388/_pdf ,(参照 2017-10-20)
  3. 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会.“Ⅲ・.小児(child)”.鼻アレルギー診療ガイドライン -通年性鼻炎と花粉症-2016年版,改訂第8版,株式会社ライフ・サイエンス,2015,p.90-95.
  4. 片山一朗ほか.抗ヒスタミン薬の選択–最適な治療の視点から–COA-BOAT:Consensus Meeting on Achieving the Best outcomes in Anti-histamine Therapy(第1報).アレルギー・免疫,2010,17(3),P.456-468,ISSN 1344-6932.
  5. 新島新一. 乳幼児への抗ヒスタミン薬使用と熱性痙攣. 週刊日本医事新報,2015,4732,P.105.
  6. Asher MI , et al .Which population level environmental factors are associated with asthma, rhinoconjunctivitis and eczema? Review of the ecological analyses of ISAAC Phase One. Respir Res . 2010, 11:8.
  7. 農林水産省.“すぐにわかるトランス脂肪酸”.農林水産省ホームページ,http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_wakaru/, (参照 2017-10-20).